なきむしのこぐまさん
泣き虫の小ぐまさん

冒頭文

小ぐまさんは大変泣き虫でした。朝から晩まで、泣いてばかりゐました。 ある朝、目を覚まして、お床のなかでじつとしてゐますと、ふいに、鳥小屋のにはとりが「コケコツコー。」となきました。それをきいて、小ぐまさんは、つい、貰(もら)ひ泣きをしました。が、気がついて見ると、自分ながら、あまり馬鹿々々(ばかばか)しいので、かう決心しました。 「にはとりのくせに、なくなんて生いきだ。」 そ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「子供之友」婦人之友社、1927(昭和2)年8月

底本

  • 日本児童文学大系 第二六巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日