じゅうごやのおつきさま
十五夜のお月様

冒頭文

大きい森のむかふから、ブルブルブルと小さい音が響いて来ました。木の上でねてゐた真黒(まつくろ)な小人はそれを聞くと、とびおきて、青い着物をきて、赤い帽子をかぶつて音のする方へ飛んでゆきました。 「お月様、今晩は。ずゐ分早くおでかけですね。」と、小人が申しました。ブルブルと音をたててゐたのは赤いお月様でした。 「たくさんの子供たちが、あなたのいらつしやるのをどんなに待つてゐるでせう。さあでか

文字遣い

新字旧仮名

初出

「子供之友」婦人之友社、1925(大正14)年8月

底本

  • 日本児童文学大系 第二六巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日