プリンス・アド
プリンス・アド

冒頭文

美しいプリンスは、お名をアドとおつしやいます。いつも真黒(まつくろ)なビロードの服に、まつかなマントを背にかけて、三人のおもちやの兵隊を、おつれになつて、森のなかをあるいていらつしやいます。三人の兵隊は、アドの家来で、レクとメツツと、テルといひます。 ある日、アドが、その三人の兵隊をつれないで、たつたひとりで森のなかへはいつてゆきますと、一人の若い男にあひました。その男は、アドを見ると、

文字遣い

新字旧仮名

初出

「子供之友」婦人之友社、1924(大正13)年6月

底本

  • 日本児童文学大系 第二六巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日