たまごとおつきさま
たまごとおつきさま

冒頭文

むかし、のはらの一けんやに、にはとりが一羽すんでゐました。そののはらのむかふには、ひくい、きれいな山が三つならんで立つてゐました。 ある、月のいゝばんのこと、そのにはとりが、玉子を一つうみました。そのたまごに、丁度のぼつてきた月が、光りをさしかけましたので、たまごは、それは美くしくて、しんじゆのたまのやうに見えました。 にはとりはうれしくてたまらないので、玉子ばかり見てゐました

文字遣い

新字旧仮名

初出

「子供之友」婦人之友社、1924(大正13)年3月

底本

  • 日本児童文学大系 第二六巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日