十一月一日 晴、行程七里、もみぢ屋という宿に泊る。——有明月のうつくしさ。今朝はいよいよ出発、更始一新、転一歩のたしかな一歩を踏み出さなければならない。七時出立、徳島へ向う(先夜の苦しさを考え味わいつつ)。このあたりは水郷である、吉野川の支流がゆるやかに流れ、蘆荻が見わたすかぎり風に靡いている、水に沿うて水を眺めながら歩いて行く。宮島という部落へまいって十郎兵衛の遺跡を見た、道筋を訊ねたら嘘を教え