おうかをよめるく ここんじょりゅうはいくのひかく
桜花を詠める句 古今女流俳句の比較

冒頭文

近代女流俳句は、大正七年以降全国的に長足の進歩をとげているのであるが、しかも尚お、閨秀の和歌に較べて、はるかに下位に取扱われ、閨秀歌人が自由に自家の歌集を世にとい、一般民衆と接触があるに反し、女流俳句は殆ど近代文芸のらち外に置かれているかの感がある。 たまたま俳句集が出版されても、俳句を作る俳人の間によまれるのみで、一般民衆とは全然没交渉であり、如何なる女流俳句があるかさえ殆ど知る人のな

文字遣い

新字新仮名

初出

「花衣 二号」1932(昭和7)年4月

底本

  • 杉田久女随筆集
  • 講談社
  • 2003(平成15)年6月10日