きたぐにのひと
北国の人

冒頭文

一 九月の中ごろ、ひどく雨が降った或る晩のこと。——学校を出た間もなくこれから新聞社にでも入る運動をしようと思ってる時に少し思うことがあって、私は親の家から出て、佐内坂上(さないざかうへ)[#ルビの「さないざかうへ」はママ]の下宿屋に下宿して間もなくであったが、——ちょうど九時打った頃、その某館に、どしゃ降りの最中によそから帰って来た。 自分の室にはいって、散滴(しぶき)でじめじめ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 遠野へ
  • 葉舟会
  • 1987(昭和62)年4月25日