しんきょうげきだんをみる
新協劇団を観る

冒頭文

有楽座の「千万人と雖(いへど)も我行かん」は上演を期待してゐたもので、今度新劇協同公演といふ興味のある企画の下に、この久板栄次郎君の力作がとりあげられたことは当然であると思ふ。 この作品は以前雑誌に発表されたものに作者が大部分手を加へたらしく、それだけ全体として緊密の度を増し、前篇「北東の風」との関連において、なるべく独立性をもたせるやう工夫されたことがわかる。主人公豊原の思想——といふ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「都新聞」1938(昭和13)年12月29日

底本

  • 岸田國士全集28
  • 岩波書店
  • 1992(平成4)年6月17日