「さっこんよこはまいぶん」このしゅうをあむについて
「昨今横浜異聞」この集を編むについて

冒頭文

今日まで活字として発表した戯曲のうち、凡そ半数は大小の劇場で脚光を浴びた。上演されたもの、必ずしも自信のあるものではなく、上演の成績も常に満足とばかりは云へないが、自分の作品を通じてみて、舞台にかけられたものには、おのづから一つの特色があり、その特色は、この集一巻の存在理由ともなるべきもので、著者としては、これを謂はゆる「芝居好き」の読者に送り、わが劇作生活の貧しい紀念としたいのである。

文字遣い

新字旧仮名

初出

「昨今横浜異聞」四六書院、1931(昭和6)年2月10日

底本

  • 岸田國士全集28
  • 岩波書店
  • 1992(平成4)年6月17日