えんげきのようしき――そうろん
演劇の様式――総論

冒頭文

1 「演劇」の範囲をどこまでひろげるかという問題は、けつきよく、「演劇」の定義次第であるが、また逆に、「演劇」に一つの定義を与えるとすれば、やはり、「演劇」の範囲をまず決めてかからなければならぬ。 われわれが現在、「演劇」と呼んでいる舞台芸術は、狭い意味では、文学作品としての戯曲の上演を指す。これはもう論議の余地はあるまい。しかし、「戯曲の上演」といつても、そこに厳密な一線を引くことは

文字遣い

新字新仮名

初出

「演劇講座第四巻 演劇の様式」河出書房、1951(昭和26)年11月25日

底本

  • 岸田國士全集28
  • 岩波書店
  • 1992(平成4)年6月17日