いかんのべん ――あくたがわしょう(だいにじゅうよんかい)せんごひょう――
遺憾の弁 ――芥川賞(第二十四回)選後評――

冒頭文

今期は該当作品なし、といふ決定をみた経過については、私から特に説明する必要はないと思ふ。私もそれに異議はなかつた。 候補作品九篇は、それぞれに候補作品たる理由と資格とをもつてゐたのだから、それにふさはしい特質だけは備へてゐるものだが、さて、そのうちから特に授賞の価値あると認められる作品が一篇もなかつたといふこと、しかも、出席委員がほとんど例外なくその意見に同じないわけにいかなかつたといふ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文芸春秋 第二十九巻第五号」1951(昭和26)年4月1日

底本

  • 岸田國士全集28
  • 岩波書店
  • 1992(平成4)年6月17日