ころも
法衣

冒頭文

千住か熊谷かのことであるが、其処に某(ある)尼寺があって、その住職の尼僧と親しい壮(わか)い男が何時も寺へ遊びに来ていたが、それがふっつりと来なくなった。 尼僧はそれを心配して、何人(だれ)かその辺の者が来たならその容子を聞いてみようと思っていると、ある日その男がひょっこりやって来た。 「どうしたかと思って、心配してたのですよ」 「少し病気でしてね」 「もう好いのですか」 「

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の怪談(二)
  • 河出文庫、河出書房新社
  • 1986(昭和61)年12月4日