おちばにっき(さんば) |
| 落葉日記(三場) |
冒頭文
一 東京の近郊——雑木林を背にしたヴイラのテラス老婦人収アンリエツト弘秋の午後—— 長椅子が二つ、その一方に老婦人、もう一方に青年が倚りかかつてゐる。それが毎日の習慣になつてでもゐるらしく、二人とも、極めて自然に、ゆつたりとした落ちつきを見せて、静かに読書をしてゐる。老婦人は、純日本式の不断着、ただ、肩から無造作に投げかけた毛皮の襟巻が、さほど不調和に見えないほどの身ごしらへ、身ごなし。青年
文字遣い
新字旧仮名
初出
「中央公論 第四十二年第四号」1927(昭和2)年4月1日
底本
- 岸田國士全集2
- 岩波書店
- 1990(平成2)年2月8日