ひゃくさんじゅうにばんちのかしや |
| 百三十二番地の貸家 |
冒頭文
人物 宍戸第三毛谷啓同京子目羅冥同宮子甲斐加代子婦人 第一場 東京近郊の住宅地——かの三間か四間ぐらゐの、棟の低い瓦家——「貸家」と肉太に書いた紙札が、形ばかりの門柱を隔てて、玄関の戸に麗々しく貼つてある。四月上旬の午後。その門の前で、立ち止つた夫婦連れ、結婚一二年、今に今にと思ひながら、知らず識らず生活にひしがれて行く無産知識階級の男女である。 毛谷 この家(うち)だらうね。京子 さう
文字遣い
新字旧仮名
初出
「婦人公論 第十二年第三号」1927(昭和2)年3月1日
底本
- 岸田國士全集2
- 岩波書店
- 1990(平成2)年2月8日