むらでいちばんのくりのき(ごば) |
| 村で一番の栗の木(五場) |
冒頭文
亮太郎あや子 その他無言の人物数人 第一場 山間の小駅——待合室真夏の払暁。 発車の直後といふ気配。二三の旅客に交つて、都会のものらしい夫婦連れが、改札口の方から現れる。一隅を選んでそこに手荷物を置き、汗を拭ひ、左右を顧み、やがて、女が先に、男がそれに続いて腰を下ろす。他の旅客は、待合室を通り過ぎるだけである。男は出来合ひらしい白の洋服、女は現代風のかなり整つた身じまひ。——手荷物は、服装の
文字遣い
新字旧仮名
初出
「女性 第十巻第五号」1926(大正15)年11月1日
底本
- 岸田國士全集2
- 岩波書店
- 1990(平成2)年2月8日