レール(もくげき)
軌道(黙劇)

冒頭文

人物 女。男。酔漢。駅夫。 場所 大都会の郊外に通ずる高速電車の小停留場。 時代 現代。 舞台はプラツトフオームである。正面に腰掛。終電車の時刻。初夏。自称紳士風の酔漢が、ただ一人、腰掛の上に横はつてゐる。電話の呼鈴。 職業婦人らしくも見え、それにしては、やや夢想家らしい、それで、どことなく、多分口元であらう——冷たい魅力といふやうなものを有つた女、二十四五である、小走りに入り来る。酔漢から、

文字遣い

新字旧仮名

初出

「演劇新潮 第二年第一号」1925(大正14)年1月1日

底本

  • 岸田國士全集1
  • 岩波書店
  • 1989(平成元)年11月8日