はってくるひも
這って来る紐

冒頭文

某(ある)禅寺に壮(わか)い美男の僧があって附近の女と関係しているうちに、僧は己(じぶん)の非行を悟るとともに大(おおい)に後悔して、田舎へ往って修行をすることにした。関係していた女はそれを聞いてひどく悲しんだが、いよいよ別れる日になると、禅宗の僧侶の衣の腰に着ける一本の紐を縫って持って来て、「これを、私の形見に、いつまでもつけてください」 と云ってそれを僧の腰へ巻いて往った。僧はそこで

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の怪談(二)
  • 河出文庫、河出書房新社
  • 1986(昭和61)年12月4日