つちぶちむらにてのにっき
土淵村にての日記

冒頭文

一 S君の家に着いた時には、もう夜がすっかり更けていた。 途中で寄り道をして、そこですっかり話し込んでしまったので、一里余りの道は闇の中をたどって来た。闇の中にひろびろと開けた、雪(ゆき)の平(たいら)を通って来た。闇と言ってもぽっとどこか白々として、その広い平がかすかに見透かされる。そして寒い風が正面から吹きつける中を歩いて来たのだ。 歩いて来た道は、川に沿っていた。雪

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 遠野ヘ
  • 葉舟会
  • 1987(昭和62)年4月25日