すけごろうよざい
助五郎余罪

冒頭文

一 慶応(けいおう)生れの江戸(えど)っ児(こ)天下の助五郎(すけごろう)は寄席(よせ)の下足番(げそくばん)だが、頼まれれば何でもする。一番好きなのは選挙と侠客(きょうかく)だ。だからちょぼ一仲間では相当な顔役にもなっているし、怖い団体にも二つ三つ属している。 「一つ心配しやしょう」 天下の助五郎がこう言ったが最後、大概(たいがい)の掛合いは勝ちになる。始めから棄身なんだから暴

文字遣い

新字新仮名

初出

「探偵趣味」1926(大正15)年12月号

底本

  • 「探偵趣味」傑作選 幻の探偵雑誌2
  • 光文社文庫、光文社
  • 2000(平成12)年4月20日