となりぐみちょうとして
隣組長として

冒頭文

私は今度隣組長の役を買つて出た。買つて出たといふ意味は、別に選挙をされたわけでもなく、特にみんなから私にやれと強ひられた覚えもないが、最近の常会で、どうも私自身この役を引受けた方がいゝといふ気にふとなつたからである。(昼間、家でぶらぶらしてゐるのは私だけだといふ負け目もあつて) かねて私は、今の政治が、当面の問題、殊に、戦争の経過につれて、どうしても急に解決しなければならぬ事柄の処置に没頭しが

文字遣い

新字旧仮名

初出

「婦人之友 第三十七巻第五号」1943(昭和18)年5月1日

底本

  • 岸田國士全集26
  • 岩波書店
  • 1991(平成3)年10月8日