『おうじゅ』のじょ
『桜樹』の序

冒頭文

日本人のすべてが、いま無意識にもとめてゐるものがある。いろいろな方面にそれがある。例へば小説にしても、今までのどんなものよりも身近な、それでゐて、おほらかなものを、それとははつきり言へないけれども、みんな心のなかで探してゐるやうに思ふ。 作家はむろんそれに気づいてゐる。しかし、書くといふことはひとつの習慣であるから、思ひきつて自分の殻を破らなければ、新しい方向に進むことはできない。準備はもうで

文字遣い

新字旧仮名

初出

「桜樹」翼賛出版協会、1942(昭和17)年10月20日

底本

  • 岸田國士全集26
  • 岩波書店
  • 1991(平成3)年10月8日