いちこくみんとしてのきぼう
一国民としての希望

冒頭文

一 国民の一人一人が今日ほど政治といふものに関心をもつてゐる時代は未だ嘗てないだらうと思ふ。それはもう、被治者としての消極的な関心ではない。国民のすべては、自分たちのなかゝらこの祖国を立派に護り育てる有能な政治家が出ることを痛切に望んでゐるのである。 しかし、何処にどういふ人物がゐるかといふことを国民の大部が知らずにゐたといふのは甚だ迂闊な次第であつた。私もご多分に漏れぬ組であるが

文字遣い

新字旧仮名

初出

「改造 第二十二巻第十六号」1940(昭和15)年9月1日

底本

  • 岸田國士全集24
  • 岩波書店
  • 1991(平成3)年3月8日