えんしゅつしゃとして
演出者として

冒頭文

芸能祭の為の臨時公演として、特に内村直也君の書卸ろした戯曲「歯車」を幹事会の指名によつて私が演出することになつたのだが、私は先づ、この戯曲の主題と形式について研究した。表題の歯車は都会と農村との相関性を象徴すると同時に、社会の有機的な活動単位に於ける「個人」の在り方について一つの暗示を含むものと解釈した。 この作品はかういふ主題を率直に時局下の産業部門の面に当て嵌め、かなり単純な手法で分

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文学座 第十号(芸能祭特輯)」1940(昭和15)年4月21日

底本

  • 岸田國士全集24
  • 岩波書店
  • 1991(平成3)年3月8日