じへんだいさんねんをむかえて
事変第三年を迎へて

冒頭文

感想をもとめられて、今、私は改めて云ふこともないが、国民の一人として、今年こそは東亜の天地に黎明がおとづれることを祈るものである。 もちろん、戦さの長びくのは止むを得ない。しかし、戦さが続いてゐる間、国民全体がたゞ政府の一挙手一投足にのみ眼を注いでゐるといふ状態ではまだ物足りぬと思ふ。さあ今度はかうしろと指図を受け、それがどんな犠牲であらうとも、国民の一人一人が、甘んじてこれに従ふことも

文字遣い

新字旧仮名

初出

「東京朝日新聞」1939(昭和14)年1月1日

底本

  • 岸田國士全集24
  • 岩波書店
  • 1991(平成3)年3月8日