りぎょ
鯉魚

冒頭文

一 京都の嵐山(あらしやま)の前を流れる大堰川(おおいがわ)には、雅(みや)びた渡月橋(とげつきょう)が架(かか)っています。その橋の東詰(ひがしづめ)に臨川寺(りんせんじ)という寺があります。夢窓国師(むそうこくし)が中興の開山で、開山堂に国師の像が安置してあります。寺の前がすぐ大堰川の流で「梵鐘(ぼんしょう)は清波を潜(くぐ)って翠巒(すいらん)に響(ひび)く」という涼(すず)しい詩偈(

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • ちくま日本文学全集 岡本かの子
  • 筑摩書房
  • 1992(平成4)年2月20日