いせいかんのゆうじょうとれんあい
異性間の友情と恋愛

冒頭文

一体、友情といふものは、それ自身甚だ曖昧なもので、同性間の友情でさへ、様々な動機によつて、様々な形態を取るものである。 例へば密接に利害関係によつて結ばれた友情、精神的に何物かを与へ合ふ、所謂肝胆相照す底の友情、共通の思ひ出がなんといふことなしに、「容(ゆる)し容される」気持にさせる友情、等々、数へ上げればいくらもあるだらうが、最も奇怪にして、しかも、甚だその例に乏しくないのは、ある型の

文字遣い

新字旧仮名

初出

「婦人公論 第十六年二月号」1931(昭和6)年2月1日

底本

  • 岸田國士全集21
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年7月9日