げきさくをこころざすわかいひとびとに
劇作を志す若い人々に

冒頭文

自ら劇作家と名乗る資格があるかどうかわからないものが、劇作家たるべき道を説くことは甚だ可笑しいと思ひますが、私を一個の劇作家と見立てゝ、かういふ課題を与へた本誌編輯者の、表面的な責任の蔭にかくれ、私は、自分の信ずるところを述べて見ませう。 一体、「劇作家になる」といふこと、それ自身が問題なのです。 或る批評家の説によれば、「劇作家は生れながらにして劇作家である」べきださうです。

文字遣い

新字旧仮名

初出

「若草 第四巻第五号」1928(昭和3)年5月1日

底本

  • 岸田國士全集21
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年7月9日