しんせんげきさくそうしょかんこうについて
新撰劇作叢書刊行について

冒頭文

わが国新劇運動の歴史を通じて、この二三年ぐらゐ、演劇の本質問題が真面目に論議せられ、それが着々実践に遷された期間はないやうに思ふ。十分な成果を得るためにはなほ種々な好条件を必要とするが、少くとも新しいヂェネレエションの戯曲創作上に齎した著しい質的向上は、正に劃期的な現象と見なければなるまい。然るに、一般からは、戯曲界不振の声を聞くのは、誠に不思議であり、且つ遺憾に堪へない。恐らく、これらの現象が特

文字遣い

新字旧仮名

初出

「劇作 第四巻第十一号」1935(昭和10)年11月1日

底本

  • 岸田國士全集22
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年10月8日