えいがのえんげきせい
映画の演劇性

冒頭文

演劇をどう定義づけるかにもよるが、私の考へる演劇の本質といふものからみれば、現在の発声映画は、その魅力の一半を演劇的なるものに負つてゐるやうに思ふ。 勿論、本質と本質とを対立させれば、演劇と映画とは正に相犯すことを許さぬ独自の美学をもつてゐる筈であるが、また同時に、物語の幻象(イメージ)化、或は、眼と耳に愬へる心理的感覚的リズムの流れといふ共通の表現手段による点で、少くとも、姉妹芸術中最

文字遣い

新字旧仮名

初出

「サンデー毎日 第十四年第二号」1935(昭和10)年1月5日

底本

  • 岸田國士全集22
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年10月8日