えんげきほんしつろんのせいり
演劇本質論の整理

冒頭文

一、弁明 本誌(新潮)八月号に発表された岩田豊雄氏の文章「演劇本質論の検討」を読んで、僕はいろいろのことを感じた。僕自身に関することが、寧ろ厚意的に書かれてゐるものを、穏健妥当などと云つたらそれこそ可笑しなことになるが、率直に云つて、僕は、演劇的同志たる岩田氏のこの一文に対し、敢て弁明を加へたい慾望を禁じ得ないのである。 それは第一に、明確に名を指してはゐないが、僕の十年来反覆主張

文字遣い

新字旧仮名

初出

「新潮 第三十一年第九号」1934(昭和9)年9月1日

底本

  • 岸田國士全集22
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年10月8日