ことばのみりょく[だいいっこう]
言葉の魅力[第一稿]

冒頭文

一 「言葉」といふものは、単に思想や感情を伝へる記号として、日常生活に欠くべからざるものであるばかりでなく、ある一人の使ふ「言葉」は、万人共通の意味をもつと同時に、その人に「固有にあるもの」を現はしてゐるのであつて、この点から見れば、それは人間の「表情」に近いものである。 従つて、語学的に、又は文法的に正しい言葉遣ひといふものもなければならぬが、一方、文学的に、又は感覚的に美しい言葉遣ひと

文字遣い

新字旧仮名

初出

「婦人公論 第十九年六月号」1934(昭和9)年6月1日

底本

  • 岸田國士全集22
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年10月8日