れんあいというもの
恋愛といふもの

冒頭文

恋愛は詩、ロマンチツクな詩、しかも決して非現実的な詩ではないのであります。恋愛にも種々あります、幼時の初恋、青年期中年期の恋、その何れもが大部分自分の意識する処は、詩的感激、ロマンチツクな精神慾ではありますが、意識無意識にかゝはらず、その底には厳として、肉体的意慾が横はり、それが流露を遂げさせんとの自然の意志が実に緊密に加勢せられてあります。ゆゑに、恋愛に於いて当事者の意識する処は大部分ロマンチツ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆29 恋
  • 作品社
  • 1985(昭和60)年3月25日