なんとかせねばならぬ
なんとかせねばならぬ

冒頭文

僕はこの十年以来、芝居についての意見又は感想を書きつづけて来た。 十年前と今日とでは、局部的には可なり事情が変つてゐるやうだが、劇壇全般の空気といふものは、依然、僕の「健康」には適しないもののやうである。 僕の望んでゐることは、せめて、自分の周囲に、純粋な「演劇的雰囲気」を感じたいといふことで、そのために、重複を厭はず、同じことを幾度も繰り返し、少しでもその反響が現はれるのを待

文字遣い

新字旧仮名

初出

「劇作 第三巻第三号」1934(昭和9)年3月1日

底本

  • 岸田國士全集22
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年10月8日