じゅんすいえんげきのもんだい ――わがしんげきだんによす――
純粋演劇の問題 ――わが新劇壇に寄す――

冒頭文

一 あらゆる芸術の部門を通じて演劇の理論といふものは、特にこれを実際に「試み」る機会が少く、従つて、その理論に確乎たる根柢を築くのに容易でない事情にある。 所謂「近代劇運動」の史的考察が、この意味で絶えずその中心を見失はれようとする傾きがあることも、われわれは既に気づいてゐるのである。 十九世紀後半に於ける諸芸術の「純化運動」に、演劇も後れ馳せながら参加した事実は、世人も

文字遣い

新字旧仮名

初出

「新潮 第三十年第二号」1933(昭和8)年2月1日

底本

  • 岸田國士全集22
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年10月8日