こんげつのかんそう ――ぶんげいじひょう
今月の感想 ――文芸時評

冒頭文

一 雑誌を一度に隅から隅まで読むのは辛いから、私は、さういふ義務を負はない約束で、この文章を書くことにした。 私が今、拾ひあげたい問題といふのは、当節やはり一番人々の注意を集めてゐる日本対世界、民族対人類の問題であらう。これは私自身についていへば、もう解決ずみなのであるが、理窟をこねればこねられないこともない。たゞ、多くの人の議論を読んでみると、たいていは自分の立場をはつきりさせる

文字遣い

新字旧仮名

初出

「東京日日新聞」1937(昭和12)年1月24~26日

底本

  • 岸田國士全集23
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年12月7日