さいきんのぎきょくについて
最近の戯曲について

冒頭文

今年のことだけを取りたてゝいふ興味はもはやない。それと同時に、戯曲家総評のやうなものをやつても別に意味があらうとは思へぬ。私はたゞ、この機会に、最近の劇壇と、劇文学界との間に、どういふ関係が生じつゝあるか、その関係が、両者の将来を如何に決定するかといふ問題について語つてみよう。 こゝ数年の間、所謂「新劇」を含めた日本の劇壇は、全く混乱に陥つてゐる。目標を失つたものと、目標を誤つてゐるもの

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文学界 第四巻第一号」1937(昭和12)年1月1日

底本

  • 岸田國士全集23
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年12月7日