にほんにうまれたいじょうは
日本に生れた以上は

冒頭文

さあ、僕はどういふ風に云はうか? 林君は熱情を見事に整理しつつ雄弁を振つてゐる。森山君は、縹渺たる感懐をリリカルな思考に托してゐる。何れも文学者らしい態度で堂々とこの課題を征服した。 僕は、率直に云ふ。林君にはまだついて行けないし、森山君には少し焦らされた。 かういふ問題は、といふよりも、「愛国心」といふやうな言葉に対しては、文学者共通の潔癖から、まづ一つのポオズを択

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文学界 第三巻第八号」1936(昭和11)年8月1日

底本

  • 岸田國士全集23
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年12月7日