にほんしじょうのおうしゅう
日本史上の奥州

冒頭文

抑も奧州地方は、多くの場合に於て出羽と併稱し、奧羽と云ひならされて居るのであるけれど、しかし日本海を負ふ所の出羽と、太平洋に面して居る奧州とは、歴史上必ずしも一概に論じ難い點が多いのである。北陸道からして海傳ひに開けた出羽と、主として常陸下野から陸路拓殖を進めて行つた奧州との間には、日本文明波及の點に於て少からぬ遲速の差のあつたこと明かであつて、一方は阿曇比羅夫時代に既に津輕まで屆いて居るのに反し

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「奧州沿革史論」仁友社、1916(大正5)年6月

底本

  • 日本中世史の研究
  • 同文館
  • 1929(昭和4)年11月20日