じゅうがつのすえ
十月の末

冒頭文

嘉(か)ッコは、小さなわらぢをはいて、赤いげんこを二つ顔の前にそろへて、ふっふっと息をふきかけながら、土間から外へ飛び出しました。外はつめたくて明るくて、そしてしんとしてゐます。 嘉ッコのお母さんは、大きなけらを着て、縄(なは)を肩にかけて、そのあとから出て来ました。 「母(があ)、昨夜(ゆべな)、土ぁ、凍(し)みだぢゃぃ。」嘉ッコはしめった黒い地面を、ばたばた踏みながら云(い)ひ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 新修宮沢賢治全集 第八巻
  • 筑摩書房
  • 1979(昭和54)年5月15日