よくきくくすりとえらいくすり
よく利く薬とえらい薬

冒頭文

清夫は今日も、森の中のあき地にばらの実をとりに行きました。 そして一足冷たい森の中にはひりますと、つぐみがすぐ飛んで来て言ひました。 「清夫さん。今日もお薬取りですか。 お母さんは どうですか。 ばらの実は まだありますか。」 清夫は笑って、 「いや、つぐみ、お早う。」と言ひながら其処(そこ)を通りました。 其の声を聞いて、ふくろふが木の洞(ほら)の中で太い声

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 新修宮沢賢治全集 第八巻
  • 筑摩書房
  • 1979(昭和54)年5月15日