こううんぶのとけい
耕耘部の時計

冒頭文

一、午前八時五分 農場の耕耘部(かううんぶ)の農夫室は、雪からの反射で白びかりがいっぱいでした。 まん中の大きな釜(かま)からは湯気が盛んにたち、農夫たちはもう食事もすんで、脚絆(きゃはん)を巻いたり藁沓(わらぐつ)をはいたり、はたらきに出る支度をしてゐました。 俄(には)かに戸があいて、赤い毛布(けっと)でこさへたシャツを着た若い血色のいゝ男がはひって来ました。

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 新修宮沢賢治全集 第十巻
  • 筑摩書房
  • 1979(昭和54)年9月15日