「ゼンマイのたわむれ」について
「ゼンマイの戯れ」に就いて

冒頭文

僕は元来活動写真といふものを、それほど研究的に観てはゐなかつた。巴里にゐる間近所に常設館があつたので、チヤツプリンの喜劇がかゝると観に行つたぐらゐのものである。たまたま、アントワアヌが新聞の「演劇時評」中で、アベル・ガンスの「車輪」を激賞してゐるのを読んで急にそれを観に行く気になつた。行つて見て、いゝことをした。いろいろのことを教へられた。活動写真の芸術的生命に可なり大きな期待をもつやうになつた。

文字遣い

新字旧仮名

初出

「演劇・映画 第一巻第八号」1926(大正15)年8月1日

底本

  • 岸田國士全集20
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年3月8日