ふらんすやくしゃかたぎ
ふらんす役者気質

冒頭文

役者の妻 或劇場の初日である。 舞台の上では、今、美しいコロンビイヌがピエロの腕に狂ほしく身を投げかけたところである。 その時、見物席の一隅に、どよめきが起つた。気絶した一婦人が救護所に運ばれた。誰かゞ、マダムBと叫んだ。ピエロの役に扮してゐる俳優の細君であることがすぐわかつた。 B夫人が息を吹き返した時には、ピエロの姿をした夫のB君が、寝台の傍に跪いて、不安な

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 岸田國士全集20
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年3月8日