こころたいらかなり
心平かなり

冒頭文

不平があるなら云へといふことだが、不平を不平の形にして表はすのは如何にも芸のない話だと思ふから、近頃愉快なことだけを挙げて置かう。実を云ふと、さうする方が手取早くていゝ。 第一に、此の頃肥つたのが目立つこと。 第二に、少しぐらゐ歩いても疲れが出ないこと。 第三に、よく眠れること。 かういふことは、なるほど、読者の興味をそゝるに十分ではない。それなら——

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文芸時代 第三巻第四号」1926(大正15)年4月1日

底本

  • 岸田國士全集20
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年3月8日