ふつこくぎかいにおけるきゃくほんけんえつもんだい ――ゴンクウルの『しょうふエリザ』――
仏国議会に於ける脚本検閲問題 ――ゴンクウルの『娼婦エリザ』――

冒頭文

一八九〇年十二月二十二日、仏国上院に於ける予算質問中、議員アルガン君は、政府が民間の一小劇場に対して、年額五百法の補助を与へ、同劇場を推奨する意図を表示したことを攻撃した。 その劇場は即ち自由劇場であり、攻撃の理由は、同劇場の上演脚本が、屡々風紀を紊すものであるといふのである。 これに対して、時の文部省芸術局長ラルウメ君は、極力自由劇場の功績を賞揚し、一二脚本の選択を誤つたとし

文字遣い

新字旧仮名

初出

「中央公論 第四十一年第四号」1926(大正15)年4月1日

底本

  • 岸田國士全集20
  • 岩波書店
  • 1990(平成2)年3月8日