しゅっぱつてん
出発点

冒頭文

築地小劇場の「夜の宿」を観て「これは佳(よ)い」と思つた、「本もの」だと思つた。 第一に脚本が佳い、第二に「演出者」の理解が行届いてゐる、第三に翻訳が立派だ、第四に俳優が真面目だ。 第一については論ずる余地はない。第二についても今更意外だとは思はない。第四については、今度だけさうだといふのではなく、今度のものにそれが極めて役立つてゐると云ふまでだ。処で第三の問題だ。 「夜

文字遣い

新字旧仮名

初出

「都新聞」1924(大正13)年11月2日

底本

  • 岸田國士全集19
  • 岩波書店
  • 1989(平成元)年12月8日