えんげきいっぱんこうわ
演劇一般講話

冒頭文

演劇の芸術的純化 演劇は最も低級な芸術であるといふ言葉には、一面の真理があります。この言葉は——といふよりも此の事実は、近代の教養ある人士を劇場から遠ざけた。「芝居には行きますか——いゝえ——さう云ふわたしも行きません」——このマラルメの言葉は、殆ど、芸術を尊ぶものより送られた演劇への絶交状であります。 演劇とは何んぞやといふやうな議論も、随分古くから繰り返され、近代に至つて色々な

文字遣い

新字旧仮名

初出

演劇の芸術的純化「文芸講座 第一号」文芸春秋社、1924(大正13)年9月20日、舞台表現の進化(一)「文芸講座 第二号」文芸春秋社、1924(大正13)年10月10日、舞台表現の進化(二)「文芸講座 第四号」文芸春秋社、1924(大正13)年11月10日、演劇の本質(一)「文芸講座 第五号」文芸春秋社、1924(大正13)年11月30日、演劇の本質(二)「文芸講座 第六号」文芸春秋社、1924(大正13)年12月15日、演劇の本質(三)「文芸講座 第九号」文芸春秋社、1925(大正14)年2月16日、近代演劇運動の諸相(一)――小劇場主義と大劇場主義「文芸講座 第十号」文芸春秋社、1925(大正14)年3月7日、近代演劇運動の諸相(二)――本質主義と近代主義「文芸講座 第十一号」文芸春秋社、1925(大正14)年3月18日、結論――明日の演劇「文芸講座 第十二号」文芸春秋社、1925(大正14)年4月3日

底本

  • 岸田國士全集19
  • 岩波書店
  • 1989(平成元)年12月8日