まんようしゅうまきじゅうろく
万葉集巻十六

冒頭文

萬葉集は歌集の王なり。其歌の眞摯に且つ高古なるは其特色にして、到底古今集以下の無趣味無趣向なる歌と比すべくもあらず。萬葉中の平凡なる歌といへども之を他の歌集に插(はさ)めば自ら品格高くして光彩を發するを見る。しかも此集今に至りて千年、未だ曾て一人の之を崇尚する者あるを聞かず。眞淵の萬葉を推したるは卞和(べんくわ)の玉を獻じたるに比すべきも、彼猶此玉を以て極めて瑕瑾(かきん)多き者となしたるは、善く

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 子規全集 第七卷 歌論 選歌
  • 講談社
  • 1975(昭和50)年7月18日