かえるのゴムぐつ
蛙のゴム靴

冒頭文

松の木や楢(なら)の木の林の下を、深い堰(せき)が流れて居(を)りました。岸には茨(いばら)やつゆ草やたでが一杯にしげり、そのつゆくさの十本ばかり集った下のあたりに、カン蛙(がへる)のうちがありました。 それから、林の中の楢の木の下に、ブン蛙のうちがありました。 林の向ふのすゝきのかげには、ベン蛙のうちがありました。 三疋(びき)は年も同じなら大きさも大てい同じ、どれ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 新修宮沢賢治全集 第十一巻
  • 筑摩書房
  • 1979(昭和54)年11月15日