もうでかけませう。たしかに光がうごいてみんな立ちあがる、腰をおろしたみじかい草、かげろふか何かゆれてゐる、かげろふぢゃない、網膜が感じただけのその光だ、 さあでかけませう。行きたい人だけ。まだ来ないものは仕方ない。さっきからもう二十分も待ったんだ。もっともこのみちばたの青いいろの寄宿舎はゆっくりして爽(さはや)かでよかったが。 これから又こゝへ一返帰って十一時には向ふの宿へつかなければいけ